写真で解説!無料のGarageBandでPodcastを編集する基本ステップ【Mac編】
Podcastを録音した後、リスナーにとってより聴きやすい音声にするためには編集が重要です。編集と聞くと難しく感じるかもしれませんが、基本的な作業であれば無料のソフトウェアで十分に行うことができます。
この解説では、Macユーザーが標準搭載されている無料の音楽制作ソフトウェア「GarageBand(ガレージバンド)」を使って、Podcast音声の不要部分をカットしたり、音量を調整したりする基本的な編集手順を、写真で見るようなイメージで丁寧にご紹介します。
なぜGarageBandを使うのか?
GarageBandはMacやiPhone、iPadに標準でインストールされており、追加費用なしで利用できる非常に高機能なソフトウェアです。もともとは音楽制作のために開発されましたが、音声編集ツールとしても優れており、Podcastの編集に必要な基本的な機能が揃っています。
特に初心者の方にとって、無料でありながら直感的に操作できる点は大きなメリットと言えます。音楽制作の知識がなくても、Podcast編集の基本作業は簡単に行うことができます。
GarageBandを起動する
まずはMacのアプリケーションフォルダからGarageBandを探して起動します。
起動すると、プロジェクトの種類を選択する画面が表示されます。Podcast編集を行う場合は、「新規プロジェクト」の中から「空のプロジェクト」を選択してください。(図1参照)
図1:プロジェクト選択画面で「空のプロジェクト」を選択しているイメージ
「選択」ボタンをクリックして進みます。
トラックの種類を選択する
次に、どのような種類のトラックを作成するかを選択する画面が表示されます。Podcast音声のような録音された音声ファイルを扱う場合は、「オーディオ」の中の「マイク」のアイコン(図2参照)を選択します。
図2:新規トラック作成画面で「マイク」のアイコンを選択しているイメージ
入力は特に変更する必要はありません。出力が「内蔵出力」になっていることを確認し、「作成」ボタンをクリックします。
これで、GarageBandの編集画面が表示されます。
音声ファイルを取り込む
録音済みのPodcast音声ファイル(WAVやMP3形式など)をGarageBandに取り込みます。取り込みたいファイルをFinderからGarageBandのタイムライン領域(画面中央の波形が表示される部分)にドラッグ&ドロップしてください。(図3参照)
図3:Finderから音声ファイルをGarageBandのタイムラインにドラッグ&ドロップしているイメージ
ファイルが読み込まれると、タイムライン上に音声の波形が表示されます。この波形が、音声の大きさや無音部分を表しています。
不要部分をカットする(分割・削除)
話している途中の言い間違いや、長すぎる無音部分など、不要な箇所をカットして削除します。
- カットしたい位置に再生ヘッドを移動する: タイムラインの上部にある三角形のカーソルを「再生ヘッド」と呼びます。カットしたい場所の開始地点に再生ヘッドを移動させます。タイムライン上の波形をクリックするか、キーボードの矢印キーを使うと細かく移動できます。(図4参照) 図4:タイムライン上で再生ヘッドを移動させているイメージ
- リージョンを分割する: 再生ヘッドがある位置で音声の固まり(リージョンと呼びます)を分割します。分割したいリージョンを選択した状態で、メニューバーの「編集」から「リージョンを再生ヘッドの位置で分割」を選択するか、ショートカットキー(Command + T)を使用します。(図5参照) 図5:メニューバー「編集」から「リージョンを再生ヘッドの位置で分割」を選択しているイメージ
- 不要部分を選択して削除する: 分割によってできた不要なリージョンをクリックして選択します。選択されたリージョンは色が変化します。(図6参照) 図6:不要なリージョンを選択しているイメージ 選択した状態でDeleteキーを押すと、そのリージョンが削除されます。削除された部分は詰める必要はなく、GarageBandが自動的に後ろのリージョンを詰めてくれます。
- 複数の箇所をカットする: 同じ手順で、カットしたい場所の開始地点と終了地点で分割し、不要なリージョンを削除することを繰り返します。
このカット作業を行うことで、冗長な部分がなくなり、リスナーが集中して聴きやすくなります。
音量を調整する
音声の大きさが一定でないと、聴きづらいと感じさせてしまいます。GarageBandでは、トラック全体の音量を簡単に調整できます。
トラックヘッダ(タイムラインの左側にあるトラック名などが表示されている部分)にあるスライダーを左右に動かすことで、そのトラック全体の音量を調整できます。(図7参照)
図7:トラックヘッダの音量スライダーを調整しているイメージ
音声の波形を見て、全体的に小さすぎる場合は音量を上げ、大きすぎる場合は音量を下げてください。波形がトラックの上下いっぱいに張り付いているような場合は、音割れしている可能性があるため音量を下げましょう。
より細かく音量を調整したい場合は、後述するオートメーション機能を使用することも可能ですが、まずはトラック全体の音量調整をマスターすることから始めるのがおすすめです。
プロジェクトを保存する
編集作業はこまめに保存することが大切です。メニューバーの「ファイル」から「保存」または「別名で保存」を選択します。任意の場所にプロジェクトファイルを保存してください。(図8参照)
図8:メニューバー「ファイル」から「保存」を選択しているイメージ
プロジェクトファイルは、編集状態をそのまま記録したものです。後から編集を再開したり、修正したりすることができます。
完成した音声を書き出す(バウンス)
編集が完了したら、Podcastとして配信できる音声ファイル形式(MP3やAACなど)で書き出します。GarageBandではこの書き出しを「バウンス」と呼びます。
メニューバーの「共有」から「ディスクに書き出す(バウンス)」を選択します。(図9参照)
図9:メニューバー「共有」から「ディスクに書き出す(バウンス)」を選択しているイメージ
バウンス設定画面が表示されます。(図10参照)
図10:バウンス設定画面のイメージ
- 書き出す範囲: プロジェクト全体を書き出すか、特定の範囲だけを書き出すかを選択できます。通常はプロジェクト全体を選択します。
- フォーマット: 書き出したい音声ファイル形式を選択します。Podcastでは「AAC」(m4aファイル)や「MP3エンコーダ」が一般的です。
- 音質: 音質を選択します。ビットレートが高いほど高音質になりますがファイルサイズも大きくなります。Podcastでは「高品質(128 kbps)」や「最高品質(256 kbps)」あたりがよく使われます。
- ファイル名と場所: ファイル名を入力し、保存場所を指定します。
設定が完了したら「バウンス」ボタンをクリックします。GarageBandが音声ファイルを書き出します。書き出された音声ファイルが、配信に利用できるPodcastの完成形となります。
その他の便利な機能
GarageBandには、今回ご紹介した基本機能以外にも、Podcast編集に役立つ機能が多数搭載されています。
- ノイズゲート: 一定以下の小さな音量(ノイズや部屋の環境音など)をカットする機能です。トラックヘッダにあるスマートコントロール(iアイコン)から設定できます。
- コンプレッサー: 音量の大小の差を縮め、聴きやすくする機能です。これもスマートコントロールから設定できます。
- イコライザ(EQ): 音の特定の周波数帯域を調整し、音質を改善する機能です。
- オートメーション: 時間経過によって音量やエフェクトのかかり具合を自動的に変化させる機能です。BGMをフェードイン・フェードアウトさせたい場合などに使用します。
これらの機能は、基本の編集に慣れてきたら試してみる価値があります。
まとめ
Macに標準搭載されている無料のGarageBandを使えば、Podcast音声の基本的なカット編集や音量調整を簡単に行うことができます。
- GarageBandを起動し「空のプロジェクト」を作成する。
- 「マイク」トラックを選択する。
- 録音した音声ファイルをドラッグ&ドロップで取り込む。
- 不要な部分を再生ヘッドの位置で分割し、削除する。
- トラックの音量スライダーで全体の音量を調整する。
- プロジェクトをこまめに保存する。
- 「共有」メニューから「ディスクに書き出す(バウンス)」で完成した音声ファイルを生成する。
まずはこの基本ステップから始めてみてください。編集に慣れることで、より洗練されたPodcast制作が可能になります。無料ツールでも工夫次第で十分に質の高い音声コンテンツを作ることができますので、ぜひ気軽に挑戦してみてください。