写真でわかる!Podcast録音時の音量(レベル)設定の基本
はじめに:なぜPodcastの録音レベル設定が重要なのか
Podcast制作において、音声の「音質」は非常に大切です。そして、その音質を大きく左右する要素の一つに「録音レベル(音量)」の設定があります。
適切なレベルで録音されていないと、どんなに高性能なマイクを使っても、後から編集で修正するのが難しくなる場合があります。例えば、録音レベルが低すぎるとノイズが目立ちやすくなりますし、高すぎると音が割れてしまう(クリッピング)という問題が発生します。
この問題を避けるために、今回はPodcastを録音する際に知っておきたい音量(レベル)設定の基本について、写真(を想定した記述)を見ながら分かりやすく解説します。
録音レベルの目安を知る
デジタル音声において、録音レベルは「dB(デシベル)」という単位で表されます。一般的に、ピーク(最も大きい音量部分)が0dBを超えると「クリッピング」と呼ばれる音割れが発生し、修復が非常に難しくなります。
初心者の方が目指すべき適切な録音レベルの目安は、ピークが-12dBから-6dBの間におさまるように設定することです。
この範囲であれば、後から編集で音量を少し上げたり、逆に下げたりする調整がしやすく、音割れのリスクも避けられます。
録音レベルを確認・調整する方法
録音レベルを確認・調整する方法はいくつかあります。使用する機材やソフトウェアによって操作は異なりますが、考え方は共通しています。
1. 使用機材での調整
マイクやオーディオインターフェース(マイクとパソコンを繋ぐ機器)を使用している場合、これらの機材に音量調整用のツマミやダイヤルが付いていることがあります。これは「ゲイン」または「レベル」などと表記されている場合が多いです。
このツマミを回すことで、マイクから入力される音の大きさを物理的に調整できます。
まずは、お使いの機材にこのような調整機能があるか確認してみてください。ツマミを少しずつ回しながら、次に説明する録音ソフトのレベルメーターを確認するのが効率的です。
2. パソコンのサウンド設定での調整
パソコンのOS(WindowsやmacOS)には、音声入力を調整する設定画面があります。
例えばWindowsの場合、「設定」から「システム」→「サウンド」を選び、入力デバイス(マイク)の設定画面を開くと、マイクの音量レベルを調整するスライダーがあります(図のように表示されます)。
macOSの場合も、「システム設定」から「サウンド」を選び、入力タブでマイクを選択すると、入力レベルの調整スライダーが表示されます(図のように表示されます)。
これらの設定でも、ある程度の調整は可能ですが、より細かく正確なレベルを確認するには、後述する録音ソフトを使うのがおすすめです。
3. 録音ソフトでのレベル確認と調整
Podcastの録音に使うソフトウェア(AudacityやGarageBandなど)には、録音レベルを確認するための「レベルメーター」が表示されています。これが、録音中の音量が適切かどうかを判断する最も重要な情報源です。
ここでは例として、無料の録音・編集ソフトであるAudacityを使ったレベル確認・調整方法を説明します。
ステップ1:レベルメーターを表示する
Audacityを起動し、新しいプロジェクトを開始します。画面上部にあるツールバーの近くに、横長の棒状の表示部分があります。これがレベルメーターです(図のように、通常は再生・録音ボタンの近くにあります)。
もし表示されていない場合は、「表示」メニューから「メーター」や「ツールバー」関連の項目を確認してみてください。
ステップ2:マイク入力レベルメーターを確認する
録音を開始する前に、マイク入力のレベルを確認します。Audacityの場合、レベルメーターの横に入力レベル調整用のマイクアイコンとスライダーが表示されていることが多いです(図のように表示されます)。
このスライダーを左右に動かすことで、録音される音量をAudacity上で調整できます。
ステップ3:テストで話してみてレベルを調整する
実際にPodcastで話すときと同じくらいの声の大きさで、普段通りにマイクに向かって話してみましょう。
話している間、レベルメーターが左右に振れて音量を示します。このとき、メーターのピーク(一番右まで伸びたところ)が、先ほど目安としてお伝えした-12dBから-6dBの間におさまるように、入力レベル調整スライダーや、もしあれば使用機材のツマミを使って調整します。
メーターが頻繁に0dB近くまで振り切れる場合は、音量が大きすぎます。スライダーを左に動かすか、機材のツマミを下げてください。 逆に、メーターの振れが小さく、ほとんど-12dBより左側にしかない場合は、音量が小さすぎます。スライダーを右に動かすか、機材のツマミを上げてください。
レベルメーターの色分けも参考にしてください。一般的には、緑色の範囲が適切、黄色の範囲は大きめ、赤色の範囲は大きすぎてクリッピングの危険あり、といった意味合いです。
ステップ4:調整後に再度テスト録音をする
レベル調整ができたら、実際に短時間のテスト録音をしてみましょう。録音された音声を聞いてみて、音割れがないか、小さすぎないかを確認します。
問題なければ、その設定で本番の収録を開始してください。収録中も、時々レベルメーターを確認する癖をつけると良いでしょう。
まとめ:適切なレベル設定でより良い音声を
適切な録音レベルの設定は、クリアで聞き取りやすいPodcast音声を作るための基礎となります。難しそうに感じるかもしれませんが、レベルメーターの見方と調整方法を一度覚えてしまえば、それほど複雑ではありません。
今回ご紹介した方法を参考に、ぜひご自身の録音環境でテストしてみてください。適切なレベルで録音できるようになれば、その後の編集作業も格段に楽になり、リスナーにとっても快適な音源を提供できるようになります。
無料のツールでも十分レベル確認と調整は可能ですので、まずは気軽に試してみていただければと思います。