自宅でOK!写真で学ぶPodcastの録音場所と費用を抑えた防音の工夫
これからPodcastを始めたいと考えている皆様、こんにちは。
「はじめてのPodcast講座」では、Podcastの録音や編集の基本を、写真を見ながら分かりやすくご紹介しています。
今回の記事では、Podcastの音質を左右する「収録場所」について、自宅でできる工夫や、費用を抑えて行う防音・吸音のポイントを解説します。
なぜ収録場所選びが大切なのか
Podcastの音質は、使用するマイクや録音機材だけでなく、音を録る場所の環境に大きく影響されます。
どんなに高性能なマイクを使っても、周りの騒音が大きかったり、部屋の音が響きやすかったりすると、リスナーが聴きづらい音になってしまうことがあります。
特に初心者の方は、まずは身近な場所で収録を始めることが多いかと思います。自宅でも、少し工夫するだけで、驚くほど音質を向上させることが可能です。
良い音で録るための収録場所の条件
Podcast収録に適した場所には、いくつかの条件があります。
- 外部の騒音が少ない: 乗り物の音、工事の音、家族の声、ペットの鳴き声など、マイクはあなたが話す声だけでなく、周囲の様々な音を拾います。できるだけ静かな場所を選びましょう。
- 部屋の反響が少ない: 部屋の壁や床、天井などに音が反射して響く現象を「反響」と言います。カラオケボックスのような響き方や、風呂場のようなキンキンした響き方は、話し声を不明瞭にしたり、耳障りになったりします。音が適度に吸収される場所が望ましいです。
これらの条件を満たす完璧な場所を見つけるのは難しいかもしれませんが、目標は「話し声がクリアに聞こえる」ことです。
自宅で収録場所を選ぶ際のポイント
自宅で収録場所を選ぶ際は、以下の点を確認してみてください。
1. 部屋の選び方
- 通りに面していない部屋: 窓から入ってくる交通騒音を避けられます。
- 家具が多い部屋: 本棚やソファ、カーテンなどは音を吸収する効果があります。物が少ない部屋よりも、反響が抑えられます。
- 押入れやクローゼットの中(番外編): 服がたくさんの押入れなどは、天然の吸音材で囲まれた非常に静かな空間になります。少し狭いですが、こもったような音にならず、意外とクリアに録れることがあります。
2. 収録する時間帯の選択
- 静かな時間帯を選ぶ: 家族が寝静まった時間帯、外が静かな早朝や深夜などがおすすめです。日中は思わぬ生活音が入ることがあります。
- 避けるべき時間帯: 周囲の生活音が多くなる時間帯(朝の支度時間、夕食時など)、乗り物の多い時間帯などはできるだけ避けましょう。
例えば、リビングや寝室など、普段使っている部屋でも、工夫次第で十分に良い音で収録できます。
(図1:窓や壁から離れた場所で収録しているイメージ写真) 図1のように、窓や壁の近くは音が反響しやすいため、できるだけ部屋の中心に近い場所で、壁から少し離れて座るようにすると良いでしょう。
費用を抑えてできる防音・吸音の工夫
完璧な防音室を作るには多額の費用がかかりますが、自宅で手軽にできる「音響対策」はたくさんあります。ここで言う音響対策には、「防音(音を外に出さない・外から入れない)」と「吸音(部屋の中での反響を抑える)」の二つの側面があります。Podcast収録においては、特に吸音が重要になります。
1. 吸音効果のあるものを活用する
部屋にある身近なものが、意外と吸音材として機能します。
- 厚手のカーテン: 窓からの音漏れや外部からの騒音を軽減し、部屋の反響も抑えます。できるだけ厚手で丈の長いものを選び、窓を覆うように吊るしましょう。
- 毛布やブランケット: 壁に貼ったり、家具にかけたりすることで、音の反響を和らげます。 (図2:壁に毛布をピンで留めている写真) 図2のように、簡易的に壁にピンで留めるだけでも効果があります。
- クッションやソファ: 布製品は音を吸収します。座る場所の周りにクッションを置いたり、ソファの前で録ったりするのも良いでしょう。
- 段ボール: 不要になった段ボール箱も吸音効果があります。箱を開いて壁に立てかけたり、マイクの後ろに置いたりするのも一つの方法です。 (図3:マイクの後ろに段ボールを立てかけている写真) 図3のように、マイクの後ろに段ボールを置くと、後ろからの音の反響を少し抑えることができます。
2. 簡易的な収録ブースを作る
大掛かりなものではなく、身近なものを使ってマイクの周囲を囲むことで、周囲の反響音をマイクが拾うのを効果的に防ぐことができます。
- 毛布や布団で囲む: 机の上に毛布を広げ、両脇から垂らしてマイクの周囲を囲むようにします。自分の上半身ごと毛布の中に少し入るようなイメージです。話し声が毛布に吸収され、反響が減ります。 (図4:机の上で毛布を使って簡易ブースを作っている写真) 図4は、マイクと自分の間に毛布の壁を作る簡単な方法です。
- 段ボール箱を活用する: 大きめの段ボール箱の内側に毛布やタオルを貼り付け、マイクを入れて使う方法もあります。 (図5:内側にタオルを貼った段ボール箱にマイクを設置している写真) 図5のように、内側を布で覆うことで、箱の中での反響を抑えつつ、外部の音も多少遮断できます。
これらの方法は、専門的な吸音材や防音材を使うよりもはるかに低コストで試すことができます。見た目はあまり良くないかもしれませんが、音質改善には効果が期待できます。
その他の音質改善のヒント
- マイクの向きを工夫する: マイクには音を拾う方向(指向性)があります。ほとんどの初心者向けマイクは、真正面の音をよく拾い、後ろや横の音は拾いにくい性質(単一指向性)を持っています。反響しやすい壁や騒音源がある方向をマイクの後ろ側にするように設置しましょう。 (図6:壁を避けてマイクの向きを調整しているイメージ写真) 図6のように、マイクの向きを少し変えるだけでも、不要な音を拾いにくくなります。
- 声の大きさを調整する: マイクに近すぎたり、声が大きすぎたりすると、音が割れたり(音割れ)、部屋の反響音が強調されたりすることがあります。マイクとの適切な距離(目安として口から15〜30cm程度)を保ち、落ち着いた声量で話すように意識しましょう。
- 収録後に編集で調整する: ある程度のノイズや反響音は、録音後の編集ソフト(Audacityなど)で軽減できる場合があります。ただし、最初から良い音で録れている方が、編集の手間も減り、自然な仕上がりになります。
まとめ:まずはできることから試してみましょう
Podcastの音質は、収録場所の環境によって大きく変わります。ですが、いきなり高価な機材や工事は必要ありません。
今回ご紹介したように、自宅にあるものを使ったり、少し場所を選んだりするだけで、費用をかけずに音質を向上させる方法はたくさんあります。
完璧を目指すのではなく、「まずは今できる範囲で試してみる」という気持ちが大切です。これらの工夫を実践して、あなたの声がリスナーにクリアに届く、聴きやすいPodcast制作の第一歩を踏み出してください。
録音環境が整ったら、いよいよ実際の録音や編集に進みましょう。このサイトでは、Audacityを使った編集方法なども詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。