写真でわかる!複数人でPodcastを対面収録する方法【初心者向け】
はじめての対面収録!複数人でのPodcast録音ステップガイド
Podcastの収録は、一人で行うことも、複数人で行うことも可能です。特に、友人やゲストと一緒に話す対面収録は、会話のライブ感や雰囲気が伝わりやすく、リスナーも楽しんでくれやすい形式の一つです。
しかし、「複数人でどうやって録音するの?」「どんな機材が必要?」「マイクは何本用意すればいい?」など、一人で収録する場合とは違う疑問が出てくるかと思います。
この記事では、はじめて複数人でPodcastを対面収録される方に向けて、写真を見ながら必要な準備から機材の使い方、収録のコツまでを分かりやすく解説します。予算を抑えながら始める方法にも触れますので、ぜひ参考にしてください。
対面収録の魅力とこの記事で学ぶこと
複数人での対面収録の最大の魅力は、会話のテンポや表情、ジェスチャーから生まれる自然な「間」や雰囲気をそのまま音声に乗せられる点です。オンライン収録では得られない一体感があります。
この記事では、以下の内容をステップごとに解説します。
- 複数人での対面収録に必要な機材
- 収録場所の選び方と簡単な準備
- 機材の接続方法と基本設定
- 複数人でのマイクの配置方法
- 収録時のコツと注意点
それでは、さっそく準備から見ていきましょう。
複数人での対面収録に必要な機材
複数人で対面収録を行う場合、一人で収録するよりも少し準備が必要です。ここでは、最低限必要なものと、あると便利なものをご紹介します。
最低限必要な機材
- マイク:
- 人数分のマイクがあると理想的ですが、予算が限られている場合は、高性能なマイクを1~2本用意し、向かい合って話すなどの工夫も可能です。ただし、人数分のマイクがある方が、それぞれの声がクリアに録音でき、後からの編集もしやすくなります。初心者の方は、比較的安価で購入できるダイナミックマイクから試してみるのも良いでしょう。(図1:一般的なダイナミックマイクの例)
- (図1:ダイナミックマイクの写真)
- 録音機器:
- ICレコーダー: コンパクトで操作が簡単なものが多いです。マイク入力端子があるモデルを選べば、外部マイクを接続できます。複数マイクを接続できるモデル(マルチトラックレコーダー)もありますが、高価になりがちです。
- オーディオインターフェース: マイクをパソコンに接続するための機器です。複数のマイク入力があるモデルを選べば、各マイクの音声を個別に(またはまとめて)パソコンに取り込めます。録音には、パソコンと録音ソフト(Audacityなど無料のものがあります)が必要です。(図2:複数マイク入力のあるオーディオインターフェースの例)
- (図2:オーディオインターフェースの写真)
- ミキサー: 複数のマイクや楽器などの音声を一つにまとめる機器です。ミキサーで音量バランスを調整し、その最終的な音声をレコーダーやオーディオインターフェース経由で録音します。オーディオインターフェース機能付きのミキサーもあります。
- スマートフォン: スマートフォン用のマイク(外部マイク)や、複数マイクを接続できる小型のオーディオインターフェースを使用すれば、スマートフォンでも複数人収録が可能です。無料の録音アプリも利用できます。手軽に試したい場合は有力な選択肢です。(図3:スマホ用小型オーディオインターフェースの例)
- (図3:スマホ用オーディオインターフェースの写真)
- 接続ケーブル: マイクと録音機器を接続するためのケーブルです。使用する機材に合わせて、XLRケーブルやフォンケーブルなどが必要になります。
- ヘッドホン: 録音中の音声をリアルタイムで確認するために使用します(モニタリングといいます)。これにより、音割れやノイズ、音量バランスの崩れなどにすぐに気づくことができます。全員分のヘッドホンと、それを接続するためのヘッドホン分配器があると便利です。
あると便利な機材
- マイクスタンド: マイクを手で持つと、ケーブルノイズや手の動きによるノイズが入りやすくなります。マイクスタンドを使用することで、これらのノイズを防ぎ、マイクと口元の距離を一定に保つことができます。
- ポップガード/ウィンドスクリーン: 息がマイクに直接吹きかかることで発生する「ボコッ」という破裂音(ポップノイズ)や、摩擦音(ウィンドノイズ)を防ぎます。特にポップガードは、マイクの前に設置する円形や四角形のフィルターです。(図4:ポップガードとウィンドスクリーンの例)
- (図4:ポップガードとウィンドスクリーンの写真)
予算が限られている場合は、まずはスマートフォンと外部マイク一本から試してみるのも良いでしょう。慣れてきたら、少しずつ機材を揃えていくことをおすすめします。
収録場所の選び方と簡単な準備
Podcastの音質は、機材だけでなく収録する場所の環境にも大きく左右されます。複数人での対面収録に適した場所を選び、簡単な準備を行いましょう。
静かな場所を選ぶ
最も重要なのは、外部からの騒音が入らない静かな場所を選ぶことです。
- 窓を閉める
- エアコンや換気扇など、定常的に音を発するものを止める
- 冷蔵庫など、動作音がする家電から離れる
など、できる限り静かな環境を作りましょう。
反響音(エコー)対策
部屋の中で声が響きすぎる(エコーがかかる)と、不自然な音になってしまいます。これは、壁や床、天井で音が反射することで起こります。
- カーテンを閉める
- 毛布や布団を壁にかける、床に敷く
- 本棚や家具など、音を吸収したり乱反射させたりするものを利用する
といった簡単な工夫でも、反響音を軽減できます。クローゼットの中なども、衣類が吸音材の役割を果たすため、意外と良い録音場所になることがあります。
機材の接続方法と基本設定
機材の準備ができたら、実際に接続して録音できる状態にしましょう。ここでは、オーディオインターフェースを使用してパソコンで録音する場合を例に解説します。ICレコーダーやミキサーの場合も基本的な考え方は同じです。
1. マイクとオーディオインターフェースを接続する
マイクとオーディオインターフェースをXLRケーブルで接続します。(図5:XLRケーブルでマイクとインターフェースを接続している様子を想定した写真)
- (図5:マイクとオーディオインターフェースをケーブルで接続している写真)
オーディオインターフェースには、マイクごとに独立した入力端子があります。複数人で収録する場合は、人数分のマイクを入力端子に接続してください。
2. オーディオインターフェースとパソコンを接続する
オーディオインターフェースをUSBケーブルなどでパソコンに接続します。(図6:オーディオインターフェースとパソコンをUSBケーブルで接続している様子を想定した写真)
- (図6:オーディオインターフェースとパソコンをケーブルで接続している写真)
多くのオーディオインターフェースは、パソコンの電源供給で動作しますが、一部モデルは別途電源アダプターが必要です。
3. ヘッドホンを接続する
オーディオインターフェースのヘッドホン出力端子にヘッドホンを接続します。複数人でモニタリングしたい場合は、ヘッドホン分配器を使用します。(図7:ヘッドホンをインターフェースに接続している様子、または分配器に接続している様子を想定した写真)
- (図7:ヘッドホンをオーディオインターフェースまたは分配器に接続している写真)
4. パソコンの録音ソフトを設定する
パソコン上でAudacityなどの録音ソフトを起動します。ソフトのマイク入力設定で、使用するオーディオインターフェースを選択してください。(図8:Audacityなどのソフト上で入力デバイスを選択する画面のイメージ)
- (図8:録音ソフトでオーディオインターフェースを選択している画面のスクリーンショットイメージ)
5. マイクの音量(レベル)を設定する
マイクに向かって実際に話してみて、録音ソフトやオーディオインターフェースのレベルメーターを見ながら、適切な音量になるように入力レベルを調整します。(図9:録音ソフトやインターフェースのレベルメーター画面のイメージ)
- (図9:レベルメーターが表示されている画面のスクリーンショットイメージ)
レベルが高すぎると音が割れて(クリッピング)、低すぎるとノイズが目立ちやすくなります。ピークがメーターの最大値に近いが、超えない範囲(例えば、-6dB〜-12dB程度)に収まるように調整するのが一般的です。参加者それぞれの声の大きさに合わせて、個別のマイク入力レベルを調整できると、後からの編集が楽になります。
複数人でのマイクの配置方法
複数人で収録する場合、マイクの配置は非常に重要です。ハウリング(マイクがスピーカーからの音を拾ってしまい、「キーン」という不快な音が発生すること)を防ぎ、参加者全員の声をバランス良く録音するために工夫が必要です。
基本的な配置の考え方
- マイクと口元の距離: 近すぎず離れすぎず、一定の距離を保つようにします。マイクの種類によって最適な距離は異なりますが、一般的には数センチ〜数十センチ程度です。
- 他の参加者との距離: 互いの声が相手のマイクに入り込みすぎないように、適度な距離を保ちます。
- スピーカー(ヘッドホン)との位置: マイクがヘッドホンから出る音を拾わないように、ヘッドホンを正しく装着し、マイクの向きに注意します。対面収録では、ヘッドホンでのモニタリングは必須と考えましょう。
具体的な配置例(写真で解説)
- 例1:マイク1本を共有する場合
- 高性能なマイクをテーブル中央に設置し、参加者がマイクを囲むように座ります。マイクの種類によっては、複数方向の音を拾える設定(指向性パターン)に変更できるものもあります。(図10:マイク1本を囲むように座っている配置の想定図)
- (図10:マイク1本を囲んで対面収録している写真)
- 注意点: 参加者の声量に差があると、声の大きさにばらつきが出やすくなります。話す際は、マイクの方に少し体を向けるなどの工夫が必要です。
- 例2:マイクを人数分用意する場合
- それぞれの参加者の前にマイクスタンドを使ってマイクを設置します。マイク同士の距離を適度に保ち、互いのマイクに相手の声が入り込みすぎないようにします。(図11:人数分のマイクをそれぞれに設置している配置の想定図)
- (図11:人数分のマイクをそれぞれに設置して対面収録している写真)
- 注意点: 各マイクの入力レベルを個別に調整し、全員の声の大きさが揃うように意識します。また、マイクスタンドに触れたり、ケーブルを動かしたりするノイズに注意しましょう。
マイクの指向性(どの方向の音を拾いやすいか)も考慮すると、よりクリアな音質で収録できます。初心者の方は、まず単一指向性マイク(特定の方向の音を拾いやすい)を人数分用意して、それぞれがマイクに向かって話すスタイルから始めるのが分かりやすいかもしれません。
収録時のコツと注意点
機材の準備と配置ができたら、いよいよ収録本番です。複数人ならではのコツと注意点を確認しておきましょう。
音量バランスを意識する
収録中に、自分だけでなく他の参加者の声の大きさも意識しましょう。特定の人の声だけが小さすぎたり、大きすぎたりすると、後からの編集が大変になります。もし可能であれば、ヘッドホンで全員の声をモニタリングしながら話すと、バランスを掴みやすくなります。
話し方
- マイクとの距離を一定に保つ: 話している最中にマイクから離れたり近づいたりすると、声の大きさが大きく変わってしまいます。
- 相手が話しているときは静かに聞く: 相槌の音や、飲み物を飲む音などもマイクは拾ってしまいます。必要な相槌以外は、できるだけ音を立てないようにしましょう。
- 他の参加者のマイクに近づきすぎない: 他の人が話しているときに、その人のマイクに自分の声が大きく入ってしまうと、編集で分けたり消したりするのが難しくなります。
合図を決める
対面収録では、オンラインのように画面越しに相手の表情を見ながら話すことが難しい場合があります。話の切り替わりや、相手に話を振るタイミングで、目線や簡単なジェスチャーなどの合図を決めておくと、スムーズな会話がしやすくなります。
休憩を挟む
長時間にわたる収録では、適度に休憩を挟むことも大切です。集中力を維持し、声のコンディションを保つためにも休憩を取り入れましょう。
まとめ:対面収録を楽しもう!
この記事では、はじめて複数人でPodcastを対面収録する方法について、準備から機材、設定、収録のコツまでを写真解説を想定してご紹介しました。
最初は機材の準備や設定に少し戸惑うかもしれませんが、一度試してみると案外スムーズにできるものです。予算に応じて手軽な方法から始められますし、対面ならではの自然な会話や雰囲気をリスナーに届けられるのは大きな魅力です。
ぜひ、この記事を参考に、気の置けない友人やゲストと楽しいPodcast収録にチャレンジしてみてください。収録した音声は、Audacityなどの編集ソフトを使って不要な部分をカットしたり、音量バランスを調整したりすることで、さらに聞きやすいものになります。編集についても、このサイトの他の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。